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所沢市のメンタルクリニック。うつ病を専門に診ているクリニック。航空公園クリニックです。

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不安障害Anxiety Disorder

パニック障害 

パニック障害は、ある日突然、めまい、心悸亢進、呼吸困難といった自律神経の嵐のような症状とともに激しい不安が発作的に起こる病気です。医師の診断を受けても身体的にはどこも異常なところは発見されません。
 1960年頃、米国のクラインという精神科医が、当時「不安・恐怖反応」と診断していた一群の患者にイミプラミンといううつ病の薬を投与したところ、10人中10人ともいわゆるパニック発作が消えてしまったのを観察しました。これが研究の出発点となり、1980年に米国精神医学会の分類で「パニック障害」という病気としての概念が公にされました。ですから、パニック障害というのはある種の薬が著名に効果を現したことから他の病気から区別された病気です。
 パニック障害は100人に1人ぐらいの割合で起こる病気です。欧米諸国では男性1人に対し女性が2人以上の割合で発症するといわれていますが、日本では男女ほぼ同じくらいの割合で発症しています。好発年齢は15から45歳であり、男性では30歳から45歳位にピ−クがあり、女性では25から35歳の発病が最も多くみられています。
では、次にパニック障害の事例を紹介しましょう。
 (32歳の主婦、Kさん)
 これまでは特に大きな病気になったことはなかった。1ヶ月前に自宅で突然、動悸、呼吸困難、発汗が出現し手足がシビレ「このまままでは死ぬのではないか」「狂ってしまうのではないか」と思い、救急車を呼び近くの総合病院を受診しました。救急車に乗った時はああ自分はまだ生きているのだなとおぼろげに考えていましたが、病院に着いた頃には発作がおさまってきました。救急外来で、すぐに心電図、血液検査、脳CTの検査を受けましたがどこも異常がないということで、医師から「ちょっと過呼吸気味ですが心配はいりません。少し疲れているんでしょう。」と言われ点滴を受けて帰宅しました。
 しかしその1週間後、夜中に同様の発作があり、同じ病院を救急受診するが「異常はありません、気の持ちようです」と言われる。それからは1週間に2〜3回同様な発作に襲われ、「やはり病気に違いない」「またあの発作が起こったらどうしよう」と不安になり、今度は大学病院の内科を受診する。そこで心エコーなどの精密検査を受けるも結果は異常なしであった。 また医者に何度も問題なし言われたことで家族の対応も変わり発作を起こして苦しんでいても病院へ連れて行ってもらえなくなる。Aさんの不安はますます大きくなり「外出先で発作が起きたらどうしよう」という思いが強くなり好きだった陶芸教室にも行けなくなり、スーパーの買い物も1人では行けなくなりました。また家族から理解されない孤独感や発作への不安・恐怖感から気分の落ち込みや食欲のなさなどでてきてめっきり元気のなさが目立つようになってきました。

<パニック発作の診断基準> 以下の13項目の内4つ以上の項目が当てはまること
 1 動悸、心悸亢進、心拍数の増加
 2 発汗
 3 身震え、手足の震え
 4 息切れ感、息苦しい
 5 窒息感
 6 胸の痛み、胸の不快感
 7 吐き気、腹部の不快感
 8 めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じ
 9 現実感消失(現実でない感じ)、離人症状(自分が自分でない感じ)
 10コントロールを失うのではないかという恐怖感、気が狂うのではないかという恐怖感
 11死ぬのではないかという恐怖感
 12異常感覚(感覚麻痺、うずき感)
 13冷感または、ほてり感
 ここにあげた発作症状は、ある時突然に始まって一定の時間(大部分は30分以内)続く発作であり、常に激しい不安・恐怖感を伴います。この不安・恐怖感は、「どうしようも出来ない」「いても立ってもおられない」「身の置き所がない」「走り出したくなる」「大声で叫びたい」といったように表現されます。
<パニック障害の症状>
パニック発作
予期不安
広場恐怖
<パニック発作>
発作の出現の仕方
 パニック発作はある一定の時間に限り激しい不安・恐怖感とともに上にあげた症状が4つ以上ほぼ同時に突然出現し、10分以内にピ−クに達します。パニック発作はその激しさが最高潮に達した後は30分以内に症状が消え去ることが多いようです。しかし、一部の患者では半日以上も症状が持続することがあります。 パニック発作が始めて起きてから次の発作が起きるまでの時間は様々です。多くの人では、1週間以内に第2回目の発作が起きます。そして、発作は起き始めると次々に連発する事が多いようです。
パニック障害にみられるパニック発作の特徴
 パニック発作は、大別すると2つのタイプにがあります。
@誘因なく突然はじまる「予期しないパニック発作」
A過度の緊張状態とか、たいへん恐ろしい場面などに遭遇した際に起きる「状況結合性ののパニック発作」
パニック障害と診断される場合は@の「予期しないパニック発作」が繰り返し起こることが特徴的です。パニック発作はどうしてこんな所で発作が起こるのかと本人にも周囲の人にも全く理解できないのがこの病気の所以です。また、経過が長引くに従って一定の状況(例えば、車を運転中とか、電車に乗ったときなど)でパニック発作を起こし易くなってきます。
<予期不安>
 パニック発作がひとたび起こるとそれは生命の危機をひしひしと感じさせるものであるので、発作に対する恐怖感は計り知れないほど強い。それは不意に突然起こることが多いので、またいつあの恐ろしい発作が起こるのではないかと常に心の底に不安感を持ち続けます。不安は対象が明かではない恐怖であると言われていますが、パニック障害の予期不安の内容をもう少し具体的に突き詰めて行きますと次のような恐怖であると考えられます。
<広場恐怖の出現>
 広場恐怖とは、パニック発作が起こることを恐れ、助けが求められない場所やすぐ逃げ出すことのできない場所にいることを非常に不快に感じたりまたはその様な場所を避ける状態をいいます。パニック発作を起こした患者の約4分の3は多かれ少なかれ広場恐怖を示します。具体的には、新幹線、航空機や地下鉄などの公共交通機関、トンネル、エレベ−タ−、橋などの狭い場所、倉庫や窓のない部屋といった閉鎖空間、美容院、歯科医、会議、行列に並ぶといった束縛された状態などがあり、高速道路、特に渋滞を恐れる人が目立ちます。また、自宅から遠く離れたり、家で一人で留守番できない人もよくみられます。
<パニック障害の鑑別疾患>
1.身体疾患
@甲状腺機能障害 A副甲状腺機能障害 B副腎機能障害 C前庭機能障害 DてんかんE心血管系疾患 F低血糖   
G中枢神経刺激薬の中毒 など
2.メンタル疾患
@恐怖症 A強迫性障害 BPTSD など 
 パニック障害ではパニック発作時に様々な身体症状が出現しますが、発作症状を説明できる臨床検査所見がみつかりません。心電図、心エコ−検査、心臓カテ−テル検査、胸部X線検査、脳波、CT,MRI画像検査、胃腸の透視検査、血液−尿検査などすべての検査で異常は認められません。つまり上記の身体疾患は鑑別される訳です(ただし、心電図検査でときに僧帽弁逸脱症の診断を受けることはありますが)。
<パニック障害の治療>
 まず大切なことは、病状を説明し(パニック障害という病気であること、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という症状がでること)治る病気であると理解してもらい、本人の安全感の確保と家族のサポート体制を構築することです。
 薬物療法と認知行動療法
 パニック発作の予防に抗うつ薬が有効です。以前は三環系抗うつ薬しかありませんでしたが最近ではSSRIという副作用の少ない薬があります。また予期不安に対してはアルプラゾラム、ロラレパム、クロナゼパムといったベンゾジアゼピン系抗不安薬がまず用いられることが多くなっています。また広場恐怖に対しては薬物療法とともに、認知・行動療法の併用により少しずつ行動範囲を広げていくことが大切です。

(注意:当クリニックで全ての治療方法を行っているわけではありません。

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